電子現金 2019 3 10

書名 暗号通貨vs.国家 ビットコインは終わらない
著者 坂井 豊貴  SB新書

 暗号通貨を考える上で、
なぜ、人類は、「金本位制」をやめてしまったのかを考える必要があります。
それは、以下の本が参考になるでしょう。
書名 「いまなぜ金復活なのか」 徳間書店
フェルディナント・リップス著 大橋 貞信訳
「政府が絶えず浪費を続ける中では、
経済は繁栄できないことを証明した古代ローマ人は、
ある意味で、最初のケインジアンであった。
 通貨への信認が失われ、また通貨の質が実際に低下するのに伴って、
商品を生産することよりも、投機の方が魅力的になってしまった。
金は東方に流失し、ローマ帝国の衰退は決定的なものとなった」
 この本の序文には、次のような文章があります。
「金本位制という制度下でなければ、
インフレーションという名の略奪から、我々の資産を守ることはできない。
 我々の財産を守るには金が欠かせないのである。
このことをしっかり理解していれば、
政治家たちが金本位制に反感を抱いている理由が容易に理解できるだろう」
(1966年 アラン・グリーンスパン)
(引用、以上)
 たとえば、あなたが、お金を使いすぎてしまったとする。
財布の中には、ほとんど、お金が入っていない。
あなたは、途方に暮れるだろう。
 しかし、あなたが紙幣を印刷できるならば、
そういう悩みは、一瞬にして解決するでしょう。
お金がなくなれば、紙幣を印刷すればよい。
 ビットコインは、「実験通貨」だったでしょうが、
それでも全世界で通用して、発行上限があります。
ドルや円のように無制限に印刷できるようなものではありません。
 もっとも、最近は、アメリカ国債の発行上限をめぐって、
トランプ大統領と連邦議会が対立していますので、
実質的にドルには発行上限があるように思えますが、
連邦議会の承認を得られれば、上限は上限でなくなります。
 政府の都合で、いくらでも発行できる通貨(印刷通貨)と、
発行上限がある暗号通貨(電子現金)の駆け引きは、
21世紀後半には、どうなっているでしょうか。
 ただし、このような「電子現金」が世界の主流になってしまうと、
「金融政策」というものが存在できなくなります。
もちろん、「財政政策」も存在できないでしょう。
 金融政策も財政政策も存在しない世界は、どんな世界なのか。
もしかすると、資本主義がない世界になるかもしれません。
資本主義という制度は、インフレを前提にしています。
発行上限がある「電子現金」では、縮小均衡、つまりデフレの世界か。
(参考)
 金(Gold)の専門家によると、
映画で盗賊たちが金塊を手渡ししているシーンがありますが、
あれは嘘だというのです。
 金塊(ラージバー)は、重さが12.5Kgもあり、
片手で手渡しできるような重さではないというのです。
それでも腕力があれば、盗賊たちが持ち歩けるでしょう。
 いっそのこと、石でコインを作れば盗まれることはないでしょう。
一個のコインが重さ100Kgもあれば盗難の心配はありません。
 通貨を「石」から「紙」に変えてしまったから、
政府の都合で、いくらでも印刷して、
映画の盗賊たちは、気楽に持ち歩けるようになったかもしれません。
「石」→「金」→「紙」→「電子」
人類の知恵比べは続く。




































































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